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役員さんの関西土産その3

ハ「今度は何ですか?」
役「ご覧の通り、天理教教典です。」

ハ「何か、箱に入っているようですけど?」
役「ええ、箱に入っています。表書きを確認して、箱を開けて見てください。」

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ハ「表書き?」

よく見ると「梅鉢紋」と「天理教教典」の文字の下に「十章壱組及三條の教憲」と記載されている。

それにしても古めかしい。

ハ「随分古いモノのようですが、何時の時代のモノですか?」
役「正確な年代は分かりません。でも、戦前である事は間違いありません。その『三條の教憲』が物語っています。中身は、明治教典と言われているモノでしょう。」
ハ「三條の教憲?明治教典?」

箱を開けて目に入ったのは「三條の教憲」である。

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第一條
敬神愛国の旨を体すべき事
第二條
天理人道を明らかにすべき事
第三條
皇上を奉載し朝旨を遵守せしむべき事

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ハ「役員さん、この『三條の教憲』というのは、どういったモノなのでしょう?」
役「モノの本によれば、明治政府が国家神道、天皇神道を国民に教え込む内容です。」

ハ「確か、天理教のスタートは『六等教会神道天理教』でしたね?教祖様が亡くなられた翌年だと聞いていますが。」
役「そうです。一派独立するまでは天皇神道・国家神道の教会ですから、その方針を説かなければならない。それが、この『三條の教憲』という訳です。」

ハ「なるほど。いわゆる『応法の理』というやつですね。第一条、神を敬い、国を愛しなさい。第二条、天然自然の理と人の道を明らかにしなさい。第三条、天皇を崇め奉り、朝廷の命令を守りなさい、ですか。第一条、第二条はともかく、第三条は、一列兄弟を説いた教祖様の教えとは真逆のモノですね。」
役「ハルアキさんも随分と歴史や中山みきさんの教えに関して理解が深くなりましたねぇ。」

ハ「いや、それ程でも。役員さんのお話をそのままですから、充分ではないと思いますが。」
役「なるほど(笑)。ここは出来れば、三条全てが中山みきさんの教えとは真逆のモノだと言って欲しいのですが。」

ハ「3条全てですか?」
役「はい。明治政府が推進したのは国家神道、天皇神道ですから、1条の『敬神』は現人神である天皇であり、紀記二典の神話に出てくる天皇家の祖先の事を敬いなさい、と言っているのです。同様に『愛国』も、その天皇家が統治する日本を、その民たる国民は愛しなさい、という事になりますね。」

ハ「いや、なるほど。今の憲法で保障されている『信教の自由』は無かったわけですか。」
役「そうです。同様に2条の『天理人道』というのは、大自然、天然自然の理ではなく、天が造った長幼の序列や身分や立場を維持し守るのが『人の道』であると説いています。これは、明治の貴族制度や明治民法の家父長制度など、江戸時代からの封建体制そのままを法律化したした所からも明らかですね。明治維新になって、江戸時代までの士農工商の身分制度は廃止されましたけど、封建的な考えや制度が全てなくなった訳ではない。上に立つ者や支配する側からすれば、そういう制度や仕組みが有った方が都合が良いのですから、呼び方や形を変えて残しておいたという事でしょう。そういう封建的な制度や仕組みの根拠と言うか、教育的な役割を果たしたのが、この『三條の教憲』とか『教育勅語』だったと言えます。」

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(十章全てを掲載する必要もないと思うので、教典部分はここまで)


ハ「なるほど、そうでしたか。」
役「で、最初の『天理教教祖御一代記』に戻りますが、中山みきさんは『天皇は現人神であり、天皇の祖先は神様である』などとは説いていません。それなのに、この北畠男爵の解説文では、中山みきさんが一生懸命、国家神道、神道教会の教えを説き広めた、という文章になっているのですよ。しかも、この箱の裏面を見てください。」

ハ「箱の裏面?」
教典の納まっている箱の裏を見ると『内務省認可済』の文字がある。

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ハ「内務省認可済み、ですか?」

役「そう、当時の宗教関係、教会関係の管轄がどのようになっていたかまでは正確ではないですけど、この明治教典が印刷発行された時には、『内務省』がこの内容と中身を審査していたのでしょう。完全に、国家神道、天皇神道の教えだけを伝える教会であり、教団だったという訳です。」
ハ「しかし、それはいわゆる『応法の理』というやつで、教典だの祭式儀式だのは国家神道や天皇神道の流れに従わなければならなかったのだと・・・。」


役「それに、これは現代に繋がる『大きな誤り』に通じる部分でもあります。」
ハ「大きな誤り?」


(続く、はずである。)



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