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宗教法人法講話(抜粋)その1

ある人から薄い冊子が届く。
そこには、宗教法人法に関する講演の内容が載っていた。
全文は載せられないので、抜粋して転載(多少編集)させて頂く。
ちなみに、お話は「現職の寺院住職であり弁護士でもある」方で、冊子の発行日は1986年(30年以上前!!)です。もっと早く手に入れていれば、私自身の手続は十分な準備が出来たなと考えます。

1.はじめに
はじめに自己紹介を簡単に(中略)。
天理教内部の様々な無理とか矛盾とかが、一挙に噴き出しております事は皆様のよくよくご承知のところであります。
 そのような実情のもとで「本部の姿勢にはついて行けないから、いっそのこと、もう天理教を教会ごと抜けたいがどうにかならないものか」とか「おやさまの真の教えを伝えていきたいので、自由にそれができる方法はないものか」とか、更には「後継者がないので、この際本部とは縁切りしたいが、いい方法はないものか」とかの深刻な悩みを持つ教会長・布教助長さんが大変多くいらっしゃるという事を知ることができました。
このような皆様の疑問と悩みに対する法律的な回答は「本部を抜ける方法はある」というものです。
それも立派に憲法と宗教法人法によって、とっくの昔から皆様の為に用意されている、というものです。

2.知られていない宗教法人法
皆様は、一体ご自分の教会の規則が頭に入っているでしょうか。「宗教法人天理教〇〇分教会規則」というようなモノが皆様の教会にはそれぞれある訳ですが、それをよく見た事もない、という方が多いのではないでしょうか。
私は、今日宗教団体に関係し、少なくとも役員になっている方々には、宗教法人法とか自分の教会規則とか、更には教団本部の規定集とに目を通しておかなければならないものだ、と思う訳です。
 宗教法人の問題は、憲法と宗教に関する特別法である宗教法人法によって規定され運用されています。この宗教法人法の中に、教団本部から教会や寺院などが離脱する方法について詳細に規定されている訳です。そして、本部から離脱する自由(権利)は、全ての宗教法人に認められた自由であり、天理教だけにはこの自由が認められない、というようなものではありません。ところが、この事を知らない、知らされていない天理教人が、実際の所大多数なのではないかと思われます。

3.本部離脱の方法
①包括・被包括関係とは
 個々の教会や寺院をまとめて組織している教団や宗派を「包括宗教団体」とよび、その包括宗教団体が宗教法人であれば「包括法人」と呼びます。
 この包括法人に対して、その教団や宗派に所属する個々の教会や寺院で宗教法人であるものを「被包括法人」と言い、包括法人に所属するような関係を「被包括関係」と呼んでいます。
 天理教に当てはめると、「主教法人天理教(天理教教庁)」は被包括法人であり、これに対して個々の大教会や分教会などの一般教会は被包括法人であり、この両者の関係を被包括関係と呼ぶことになります。

②包括法人からの離脱・脱退の自由
 戦前の天皇を主権者とする帝国憲法のもとでは信教の自由は認められず、この事から教会や寺院が所属する教団や宗派を離脱・脱退したり、独立の教団や宗派を設立する事は事実上禁止されていました。
 戦後の国民主権のもとでの憲法によってはじめて完全な信教の自由が認められ、この憲法をうけて出来た宗教法人法は、教団や宗派からの離脱・脱退や独立の教団の新設を全く自由に行えるものとしたわけです。 宗教法人法では、この離脱・脱退のことを「被包括関係の廃止」とよんで、それぞれの教会の規則の上で教団や宗派に包括される事になっている部分を変更する、規則変更の手続きの一種としてその手順を定めています。

③責任役員会議での決定
 まず必要な事は、被包括関係の廃止について(つまり、天理教から離脱することについて)、教会内部の意思決定をはかる事です。意思決定は、宗教法人である教会・分教会などでは責任役員会議で決定する事になります。
 変更する予定の被包括関係廃止の教会規則案を会議にかけ、その規則変更を決定する訳ですが、天理教の一般教会の規則では「責任役員全員の同意」が必要(一般教会規則第28条)となっています。責任役員が一致して問題を理解する事が大切です。(どうしても問題の理解が出来ない責任役員がいる場合は、教会長は他の責任役員に相談した上でその役員を解任する事も出来ます。)

④本部への通知と公告
 責任役員会で離脱の決定を致しましたら次に、
イ)規則変更案の要旨を示して、その旨を信者その他の利害関係人に対して公告をする事
ロ)この公告と同時に、被包括関係を廃止する事を包括法人宛に通知する事(離脱通知)
この2つをやらなければなりません。(宗教法人法第26条第二項、第三項)
 公告とは、通常教会(事務所)の掲示板に10日間掲示する事を言います(一般教会規則第5条)。決まった掲示板がなければ、適当な場所を新たに決めて掲示すれば足ります。掲示板は、建物の内部でも外部でもどちらでも構いません。掲示は写真を撮影して掲示の事実を5人の人に証明して貰えるよう手配が必要です。
 離脱通知は内容証明郵便で、包括法人つまり「宗教法人天理教」(天理教教庁)宛に通知します。

⑤知事に対する法人規則変更認証の申請
 公告と離脱通知が済みましたら、次に所轄官庁(都道府県知事)に対して「規則変更認証申請」をすます。ただしこの認証申請をするには、公告期間10日間の経過後さらに2ヶ月経った後でなければなりません(宗教法人法第26条第二項)。
 この2ヶ月間と10日の期間は、信者その他の利害関係人らに意見を述べる期間を保証しようというモノです。もちろん、その意見を聞き入れるか否かは全く自由というものに過ぎません。

⑥受理通知と認証書の確認
 こうして規則変更申請を提出いたしますと、必要な書類が整っていれば「申請書受理通知」が所轄庁から発行されます。所轄庁はこの正式受理から三ヶ月以内に最終的な認証決定の判断を下さなければなりません。
 以上によって、所轄庁による宗教法人規則変更認証申請の認証手続きが終了しますと、認証書が交付されます。この認証書の交付によって規則変更は効力を発生する事になってます(宗教法人法第30条)。
その後の手続として登記手続きがありますが、省略します。

⑦包括法人の権限の停止
 ここで規則変更手続きに「大教会代表役員の同意」や「天理教代表役員の承認」は必要ないのか、疑問に思っておられる方がおありでしょう。
 そもそも、離脱独立をするための規則変更について、大教会長さんや本部の表統領が同意や承認をしてくれるでしょうか?そんな事は問わずもがなでしょう。
この「あらかじめ断られる事の分かっている同意や承認を不要とするために、宗教法人法は特別な条項を定めました。それは「被包括関係を廃止するための規則の変更」をしようとする場合は、包括団体が「一定の権限を有する旨の定めがある場合でも、その権限に関する規則の規定による事を要しないものとする」という同法26条第一項の規定です。表統領の承認や大教会長の同意は、当然のことながら、本部を離脱しようとする場合には不要だということになります。

⑧不利益処分の禁止
 つぎに、宗教法人法が定めているもう一つ大切な事で「不利益処分の禁止」があります。
 せっかく教団本部からの離脱を自由だとしましても、実際には離脱の通知を教団本部にしてから離脱の規則変更が所轄庁で認証になって離脱が効力を発生するまでに、どんなに短くても2ヶ月10日間以上掛かってしまいます。その間に、もしも教団本部から離脱しようとする教会の会長さんが罷免されてしまったらどうなるでしょうか?罷免されて新たに本部の息のかかった人が教会長として特命できるとなりますと、その時点で離脱手続きは挫折してしまい、憲法と宗教法人法によって認められた、信教の自由に基づく制度が無意味になってしまいます。
 そこで宗教法人法第78条に規定を設けて、離脱に関してなされる不利益処分を禁止しました。その内容は、
第一に、離脱通告の前後で離脱しようとする教会の代表役員やその他の役員を解任したり資格停止にするなどの不利益処分を一切禁止する、ということ。
次に、この禁止を破ってした不利益処分は一切無効だということ。
 無効という事は、仮に解任などの処分をしても裁判所がこの主教法人法の規定に基づいて、処分の無かった事にすることができ、解任された教会長さんやその他の役員さんの地位が復活する、ということです。
 この規定は、実によく教団本部というものの本性を見抜いた規定だと言わざるをえません。実際の所、このような規定を設けなければ本部からの離脱などは教祖様の時代同様に不可能となってしまうでしょう。
 こうして、教団本部からの離脱の自由は二重三重に、憲法と宗教法人法によって守られているのです。

最後に一言、私の思いを付け加えさせて頂きます。
 今日の天理教団をどのように手直ししたら教祖の願いである「平らな世の中で、一列兄弟が助け合う陽気な教団」になれるのか。現在のように分教会長さんは大教会長さんの言いなり、大教会長は本部の言いなり、本部員にあらざれば人にあらず、生まれと地位身分によって明らかな差別社会が肯定されている、こうした全く他に類例を見ないほどの封建体制・幕藩体制下にある教団の現状をどのようにしたら「一列兄弟の教団」にできるのか。真柱・表内統領、本部員を含めて一列兄弟になれる日は何時のなのだろうか。
 私の一存で真柱さんに対して、信仰者としての問題解決を訴える手紙を出してみましたが、非常に残念な事に、彼にも彼の取り巻きにも、そうした信仰者としての問題解決能力は現状では全く見られませんでした。
「教祖の残念」を100年祭で語ったお方が、我が身思案で問題解決を受け止められておられるのではないか、と心配です。
いずれは残念を残念と受け止められることのあることを信じつつも、現状では「一列兄弟」を実現するには、教団本部との法律上の関係を一時的にせよ解消して、本部や上級の不当な支配が及ばない教会を多数作りながら、そうした教会が横に兄弟として連帯をし、「一列兄弟」のひながたを作って見せる以外にない、と確信するに至ったのです。
 ここで注意して頂きたいのは、法律上の関係を解消することになる「被包括関係廃止手続」は、信仰上の天理教団との関係までも解消する事になるモノではない、という事です。
「教祖の弟子に変わりなく、心も言葉も行動も、お道の人間として皆様と同じ教の中におりますので、これからも相変わらずのお付き合いを頂きたいと思います。」という事が真実の信仰者の立場であると確信しておりますので、誤解なきように申し上げておきます。

 この際、布教所も分教会も大教会も、大いにどんどん本部から法律上独立して、一日も早く本部も含めた天理教教団全体が「一列兄弟」を実現する教団に、再度の統合が出来ますように、困難であっても進んでいく以外にないと考えるモノです。



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